飛行機の欠航はどんな基準で決まるのでしょうか。
飛行機を利用する上で、一度はこんな事がありませんでしょうか。
天気が悪いと天気予報では言ってるけど、明日のフライト飛べないのかなぁ〜。
そんな!欠航だなんて仕事が台無し・・・。
なんでこの天気で欠航するの?説明も悪天候しかないから全然納得できない・・・。
といったように、予定が台無しになってしまったこともありますよね?
実際のところ、どんな時に飛べないのか、具体的な内容は専門家でないとわかりません。
どのような基準で欠航を決めるのか、そしてどのような時に飛行機は飛べなくなるのか、現役機長の空おじが解説します。
飛行機の欠航基準
強風
強風の場合、風速は滑走路の真横から吹く場合の横風制限に引っかかる場合は、雪の場合を除いて15m/s〜19m/s、その他地上作業員の制限で25m/s付近で運航ができなくなります。
この値は、会社や機種、滑走路の路面状況により若干前後します。
19m/sでは風に向かって歩くのがなかなか大変な風、25m/sでは風に向かって歩くのが非常に困難な風のイメージです。
また、台風で外の風がビュービューと音を立て始めた時は、19m/s程度は吹いているイメージです。
飛行機は横風に非常に弱いです。
空港によっては気流が悪く、そのような中ではパイロットもかなり気合を入れて着陸します。
横風制限を超える中で無理矢理運航することは、非常に危険です。
台風
台風の場合、欠航になる場合は殆どの場合で強風が該当します。
強風の項を参照下さい。
雷
雷では通常欠航になりません。
何故なら雷というのは通常30分程度で空港上空から抜けてしまいます。
ただし、稀に見られる線状降水帯や、インドや日本でも稀に見られるスーパーセルのような積乱雲の場合には、30分を超えて滞留することもあります。
しかしこの場合も、燃料を沢山積んで雷の隙間を見て運航することになります。
雨
雨でも基本的には欠航になりません。
特に雨は30mm/hを超えてくると、様々なリスクを懸念しますが、基本的には着陸可能です。
海外や、日本でも稀に100mm/hの雨が発生することもあります。
その場合は、一時的に着陸ができないこともあります。
ですがこれは基本的に雷雲から降る雨ですので、雷と同様30分もあれば抜けてしまいます。
雪
雪の場合、欠航するのは風が強い時です。
雪が降ると滑走路が滑りやすい為、10m/s程度の風でも欠航することがあります。
ただし目安は積雪状況により、かなり分岐するためあくまで参考程度です。
霧
霧でもまず欠航はありません。
ただし、cat2又は3という、自動操縦装置で霧の中着陸をする運航をするには、会社が国土交通省からの認可を取る必要があります。
会社によってはこの認可を取得していないので、取得していない場合には霧での欠航確率はかなり上がります。
その場合は、視程が550mを下回ると予想される場合に欠航となります。
機材繰りや乗員繰りによる欠航って?
天気による欠航と同じくらい空港でよく見るのが、機材繰りや乗員繰りが原因による欠航ではないでしょうか。
これは繁忙期に発生しやすいです。
また、繁忙期には天気による欠航よりも発生しやすいです。
理由を解説します。
機材繰りによる欠航
機材、とは飛行機の事を指しています。
機材繰りによる欠航とは、飛行機の故障などで飛行機が足りなくなり、搭乗する便で使用するはずだった飛行機を他の便で使用してしまった場合が該当します。
運航管理者と呼ばれる航空会社の運航全般を管理する人は、限られた機材をやりくりしながらその日の運航を一つでも多く飛ばそうとしています。
しかし、特に繁忙期は沢山のお客様を輸送する為、航空会社は予備の機材が少ない状態で運航しており、複数の機材の故障などにより機材が足りない場合が出てきます。
その場合、乗客が少ない便や、欠航しても運航便全体への影響が少ない便を運航管理者が選んで欠航します。
これが、機材繰りによる欠航です。
自分の便に機材を使ってくれよ!となりますよね。
しかし、今まで欠航せず皆様が搭乗してきた便の中には、会社が機材を上手く回すことで飛ぶことができた便もきっとあります。
航空会社としては、できるだけ沢山の飛行機を飛ばそうと最善の努力をしています。
乗員繰りによる欠航
これは機材がないのではなく、パイロットや客室乗務員の人数が足りない場合に該当します。
当該便の乗務員が体調不良や事故などで出社できず、代わりの乗務員もいなくなってしまった場合や、他の便で当該便の乗務員を使用した場合が該当します。
機材繰りと同様に、繁忙期には乗務員や客室乗務員の稼動がかなり高くなっている為、代わりの乗務員がいなくなってしまうことがあります。
こちらも当たってしまったお客様からすると、スッキリしない理由ですよね•••。
私も一度ですが、出社中に車が故障して動けなくなった時がありました。
その時は申し訳無いながらも休む時はあります。
特にLCCでは乗員の稼働が高いです。
大手航空会社も、近年非常に高い稼働が続いております。
コロナ下前にはパイロット不足が叫ばれていましたが、コロナ下が収束してまたその状況が顕著に表れていると思います。
欠航に当たる確率は?
平均1%程度です。
以下は国土交通省の欠航率の令和4年4月〜6 月の数字になります。
国土交通省 特定本邦航空運送事業者(※)に関する航空輸送サービス に係る情報公開(令和4年4月~令和4年6月)のポイント 参照
国際線は欠航しない?
国際線は欠航しないかというと、決して欠航しないということはありません。
ただし国内線よりも国際線の方が欠航しにくいのは確かです。
その理由としては、国内線はその日のうちに運航をすることを国から求められているからです。
一方国際線は、24時間の遅延で運航することもできます。
私の乗務する便におきましても、国内線は欠航することはありますが、国際線が欠航することはかなり稀です。
飛行機の欠航基準まとめ
ここまで飛行機が欠航する基準をお伝えしました。
- 欠航は主に強風(15m/s〜19m/s)か、機材繰り、乗員繰り。
- 欠航に繋がらない悪天は雷、雨、霧。
- 欠航に当たる可能性は僅か1%
飛行機の欠航に当たった時は予定が大きく変わってしまい大変な思いをしますよね。
運悪く欠航になった場合、詳しい欠航の基準までの説明はないため、気持ち的にはスッキリしないこともあると思いますが、この記事が参考になりましたら幸いです。