航空身体検査の対策!内容と合格率は一体どれくらい?

航空身体検査 対策 パイロット

パイロットを目指す人たちにとって、航空身体検査の対策および受験は空で飛ぶためには避けられないものです。

しかし、航空身体検査と言われても漠然としていて、どう対策をしたらいいのかわかりませんよね?

航空身体検査の基準は国として基準を定めていますが、エアラインを目指す方は会社によって基準はより厳しくなってきます。

その航空身体検査にどう対策したらいいのかも、受けた経験のある人にしかわからない部分もあります。

国の基準、および各養成学校入試や航空会社入社時の基準とその対策、更に合格率など、現役機長の空おじが解説します。

航空身体検査の合格基準は?

航空身体検査 対策

国が実施する航空身体検査と、養成学校の入試や、会社に入社する際の航空身体検査はそれぞれ基準が異なります。

国の航空身体検査

国の身体検査の場合は、合格した場合に航空身体検査証明書を獲得することができます。

航空法施行規則の左の目次を下にスクロールした際に出てくる別表第4、または国土交通省ウェブサイトに記載されている航空身体検査マニュアルいずれかを検索することで誰でも簡単に合格基準を参照できます。

内容はある程度特定の項目を調べたい場合、自分で参照することもできますが内容としては非常に専門的で、理解できない部分も多いと思います。

その場合には国土交通省ウェブサイトに記載されている航空身体検査指定医を訪れて相談してみるのもいいと思います。

なお、4万円程度の費用はかかりますが実際に航空身体検査を受験することもできます。

空おじ機長
空おじ機長

今まで健康上の懸念がない人でも、場合によっては特定の項目の数値が高い場合があります。

私の場合は血液検査の特定の数値が基準範囲外でしたが、遺伝的なもので問題ないことを航空身体検査指定医に確認してもらった経緯があります。

 

なお、航空身体検査指定医以外のかかりつけ医に相談しても、航空身体検査合格基準は把握していないので困らせてしまうので注意です。

航空法の別表を見せて対応していただくことはできるかもしれませんが、本来の業務とは異なる為迷惑をかけてしまうでしょう。

航空大学校大学養成入社試験

これらの身体検査は国の航空身体検査とは異なる基準で実施されます。

また合格基準や行う項目は、公開されていません

将来にわたって国の航空身体検査基準を満たせるかどうかを見ているので、どうしても厳しくなってしまいます。

ですが、一般的に行われる身体検査の試験項目がありますのでご紹介します。

空おじ機長
空おじ機長

これらの要点を抑えて、あとは暴飲暴食を避け、最低限の運動を行い、肥満を避ける程度しか対策はありません。

私も私の周りのパイロットも、学生の時から機長の時まで、具体的な対策をしたことはない人が殆どだと思います。

心理テスト

要点を抑えておけば、対策は全く必要ありません。

精神科との一対一の面談や、ロールシャッハテスト、200問ほどのはい・いいえで答えるようなテストが一般的です。

この絵を見て何に見えますでしょうか?

悪魔や蛾、コウモリなど暗い答えを答えてしまうと不合格になる可能性があります。

うさぎや犬など、ネガティブなイメージがないものを答えましょう。

また、はい・いいえの設問は「私は失敗したことがない」のような問題では、「はい」と答えると嘘をつく人間とみなされ、不合格となります。

そのような設問が散りばめられており、そこで嘘をつかないかどうかを数100問の中で試しています。

視力

視力は航空身体検査マニュアルによると

  • イ 各眼が裸眼で0.7以上及び両眼で1.0以上の遠見視力を有すること。
  • ロ 各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上、かつ、両眼で1.0以上に矯正することができること。

と記載されており、この視力に関しては特に国の基準をはるかに上回る基準を求めている組織や会社は、私の知る限りありません。

空おじ機長
空おじ機長

現役パイロットでも、私も含めて眼鏡やコンタクトをしている人はたくさんいます。

裸眼だとすごいね〜。となるくらいです。

 

一般的に使用されるメガネで、上記の視力を満足できれば大丈夫です。

なお、国の航空身体検査の免許取得時は求められませんが、入社や入試では深視力検査で引っかかる人が多いです。

もちろんズルする必要性はないものの、深視力検査は慣れないと相当難しいです。

一度、病院で練習してみてもいいかもしれませんね。

アレルギー

花粉症やアレルギー性鼻炎など、悩まされている人は多いと思いますが、一般的なアレルギーが原因で不合格になる可能性はほぼないと言っていいと思います。

私自身は病院で検査をするとアレルギーでは最も悪い評価が出ます。

ですが、入試や入社試験でアレルギーに関してコメントをもらったことは一度もありません。

空おじ機長
空おじ機長

花粉症の時期に、かなり苦しんでいる現役のパイロットもいくらでもいます。

あまりにもひどい時は耳が詰まってしまうので、やむなく休む人もいます。

 

 

 

ただし、鼻詰まりのひどい人の一部では鼻中隔湾曲症の人がいます。

鼻中隔湾曲症の場合、国の航空身体検査基準に不適合となってしまうので注意が必要です。

肥満

国の航空身体検査基準ではBMI30を超えると、心血管系疾患に関する他の危険因子を判断する必要があります。

そのためBMI30程度を各会社、学校は基準にしている可能性があります。

肥満を避けることは血圧なども下げることに繋がりますので、対策として太っていないに越したことはありません。

航空身体検査の合格率は?

航空身体検査 対策

合格率も、国が実施する航空身体検査と、養成学校の入試や、会社に入社する際の航空身体検査はそれぞれ全く合格率が異なります。

国の航空身体検査

私の体感ですが国の航空身体検査は、一番厳しい第1種航空身体検査でも9割以上の人は合格しています。

20代であれば、まず合格するでしょう。

ただし年齢を重ねるごとに、どうしても合格率は落ちていきます。

大体50歳を超えてくると、指定医に許可された薬を服用するなどして身体検査基準を満足する人が増えてきます。

航空大学校、大学養成、入社試験

学校や、航空会社によって合格率は異なりますが、航空会社に入社する際には非常に厳しい合格率となります。

航空会社の入社試験では2次試験あたりで身体検査の試験がありますが、5次試験以上まであったとしてもこの身体検査で半分以上落とされるのが一般的です。

そうは言っても訓練生の時から心配しても仕方がないですし、対策して合格するものでも全くありません。

100パーセント運、だと個人的には考えています。

エアラインパイロットが普段対策していること

航空身体検査 対策

エアラインパイロットは、国の航空身体検査を毎年受験します。

それに対しての対策ですが、あまり難しいことはしていません

私は一週間に一度程度、5km程度のランニングを続けているのと、身体検査の1ヶ月前には暴飲暴食を控えるように野菜中心の生活をするようにしています。

ただ、そのような時期を除いて脂っぽいものも食べますし、お酒も飲みます。

空おじ機長
空おじ機長

身体検査に合格することよりも、ストレスを少なくかつ健康への余計な懸念が生まれないように生活することが、仕事に集中できて安全運航につながるのではないか、と考えています。

ただし、特定の項目に懸念がある人はかなりの対策をしています。

例えば血圧に問題がある人は、指定医又は大臣の認めた薬を飲んでも基準値内に収まらなくなったら完全に仕事ができなくなるので、普段からの食事も相当気をつけているでしょう。

つまり各々の健康状況によると言えます。

航空身体検査の対策!パイロットは実際にどう考えている?まとめ

航空身体検査受験にあたり、国の試験と養成施設や入社時の内容、対策を解説しました。

  • 国の試験は不合格になることは基本的に稀である。
  • 養成施設や入社時の身体検査は難易度が高く、取れる対策も限られており殆ど運の要素が強い。

日々の節制を行うことはもちろん大切ですが、パイロットとして飛行する為の航空身体検査という観点では過度な対策は必要ありません。

適度な運動や健康な食生活を最低限意識して、大きな病気や怪我をすることなく過ごしていれば、誰でも突破できるものとなっています。

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