パイロットになるにあたって身長制限を課されることがあります。
身長が低いから、または高すぎるからとパイロットの夢を諦めないでください!
身長制限は安全性や航空機の操縦する人の操作性を確保するために行われるのですが、具体的な数値や条件は航空会社や国によって異なります。
現役機長の空おじが具体的なパイロットの身長制限について詳しく解説します。
パイロットに身長制限はある?
パイロットになるには航空大学校受験時には身長158cm以上、航空自衛隊では身長158センチ以上190センチ以下でないとパイロットにはなれないと定められています。
ただし、自社養成や大学のパイロットコースには身長制限は特にありません。
航空大学校受験時 | 158cm以上 |
航空自衛隊 | 158cm 以上190cm以下 |
自社養成 | 制限なし |
大学のパイロットコース | 制限なし |
パイロットに身長制限がある理由
身長制限には航空大学校、および自衛隊において下限と上限が設定されていますが、その背景は何でしょうか?
下限
各装置のスイッチや、操縦を制限があるのは行う部位に確実に届くようにする為です。
一例を挙げると、航空機は地上移動中はラダーと呼ばれる、足で操作する部分をつま先で踏んでブレーキを実施します。
ラダーの位置は身長に合わせて選べるのですが、あまりにも身長が低い場合にはラダーを強く踏み込めない可能性があります。
そうなってしまった場合には地上で目の前を車が通った場合に停止できない、ということもあり得るので航空大学校や自衛隊は身長制限を設けていると考えられます。
飛行機はボーイングがアメリカ、エアバスがフランスと体の大きい人たちが作っています。
そのためスイッチの位置も席から若干遠いことがあり、170cmくらいの私でも上の方のスイッチはしっかり手を伸ばして操作するような印象があります。
なお、2011年に航空大学校の身長制限は163cmから158cmに変更になった為、女性にも入りやすくなったと言えます。
上限
自衛隊のみ設けられている身長制限の上限ですが、理由としては操縦室が非常に狭いからです。
エアラインで使用するジェット機の場合はコックピットに四人も五人も入れるようにできているのですが、自衛隊の戦闘機の場合は基本的にコックピットは一人用です。
その為設計上の問題から、戦闘機のみ身長制限の上限が設けられています。
身長制限に引っ掛かったらどうすればいい?
身長制限のない自社養成、または大学のパイロット訓練コースにチャレンジすることができます。
実際に現役の副操縦士の人でもいずれかのコースから訓練を受けた、158cmもないような女性の人も飛んでいます。
身長制限の下限の解説に記載したラダーやスイッチの操作を行うことに対して、多少人より不自由を感じるかもしれませんが、外国人では背中や椅子にクッションを当てることで解決する人もいます。
しかし自衛隊の戦闘機に関しては、残念ながら私の知る限りどうしようもないのかな、と思います。
私の知る限りでは、150cmを少し超えるかな?という方も飛行している印象です。
身長が低くてパイロットになること自体に不安な方もいるかもしれませんが、周りからしても何の違和感もなく飛行していますよ!
航空会社の採用基準に身長制限はある?
各会社のパイロットの身長制限は、各会社で公開していないので、何とも言えないのが実情です。
しかし◯◯会社は低身長の人は採用していない、という話は全く聞いたことが有りません。
シンガポールやアメリカの友人にも、158cmには確実に届かないようなパイロットの方々も沢山います。
そのため、身長が低くてもパイロットになることを制限しないのが、既に世界の流れであると解釈していいと思います。
まとめ
パイロットの身長制限と、実際に働く人たちの実情を解説しました。
- 航空大学校には158cm以上、自衛隊には158cm以上190cm以下の身長制限がある。
- 大学のパイロットコースや自社養成にはないため、実質身長制限はなくなっている流れになっている。
- 就職の際の身長制限は公表されていない
現在から先の航空業界は、長期に渡って、パイロット不足が予想されています。
時代の流れにそぐわないパイロットの身長制限など、不要な制限は日本でも次々に緩和されており、パイロットになるチャンスはどんどん広がっていると言えるのではないでしょうか。